日本で認可されたゲノム編集食品 どの遺伝子が編集されてどんな性質を示す?

この記事のもくじ

今更だけどゲノム編集食品てなに?遺伝子組み換え食品とどう違うの?

定義や作り方としての違い

ゲノム編集食品=その動植物が本来持っている遺伝子を破壊した動植物

遺伝子組み換え食品=ほかの動植物から遺伝子を取ってきて導入した動植物

この違いです。小さいようですが結構違います!

少しでもわかりやすいようにイネを使って例を挙げてみます。

イネの遺伝子の中に、「米が落ちやすくなる遺伝子」があるとします。

野生の植物だったら、米(種)がぽろぽろ落ちてくれた方が繁殖には有利です。

しかし、農業する上ではぽろぽろ落ちられたら回収しにくくてたまりません。

この「米が落ちやすくなる遺伝子」を意図して破壊したとすれば、それはゲノム編集食品です。

「米が落ちやすくなる遺伝子」の代わりに「別の植物が持っている米が落ちにくくなる遺伝子」を組み込んだらそれは遺伝子組み換え食品です。

似ていますが、原理は大きく違います。

法整備上での違い

ゲノム編集のような現象は自然界でも起きるから、2021年11月時点では日本、アメリカではゲノム編集食品は「安全性審査」の必要がありません。

遺伝子組み換え食品は安全性審査が必要です。

加えて、遺伝子組み換え食品は「遺伝子組み換え」を表示する義務がありますが、ゲノム編集食品は表示義務がありません。

ゲノム編集食品と遺伝子組み換え食品の違いまとめ

2021年11月現在作出方法安全性審査
ゲノム編集食品もともと持っている遺伝子を破壊する。不要
遺伝子組み換え食品もともと持っていない遺伝子を組み込む。必要

2021年11月現在、日本で認可されたゲノム編集は3種類

1. GABAを豊富に含んだトマト サナテックシード株式会社

日本で認可されたゲノム編集食品第1弾で、2020年12月11日に承認、2021年9月から市場流通が開始されています。

GABAについては聞いたことがある人も多いかと思います。コンビニなどでもGABAの健康機能を表示したお菓子が多く売っていますよね。

よく知られている効果は睡眠改善、ストレス耐性、血圧降下作用などがあります。

このトマトは、GABA合成酵素(GAD)をゲノム編集で部分的に欠損させ、GABAの合成にブレーキをかける部分を取り除くことでGABAを通常よりも多く含むことに成功しています。

通常のトマトに比べて約7倍のGABA量を含むと報告しており、1つ食べると大体GABAの摂取量は150 mgほどになる計算です。

睡眠改善効果があるとされるネルノダ(ハウス食品)は1本あたり100 mgのGABAを含有しているので、睡眠改善効果が得られる可能性がありますね。

2.肉付きのいいマダイ   リージョナルフィッシュ株式会社

2021年9月17日に認可され、同年10月から市場に流通されたマダイです。

標的とした遺伝子は筋肉が大きくなりすぎないように調節する遺伝子(ミオスタチン)で、こちらの遺伝子が破壊されることで筋肉が大きくなり、1匹あたりの食べられる肉の量が増えます。

ミオスタチン欠損したウシは以前から知られており、ベルジアンブルーという筋骨隆々な系統が有名です。(ぜひググってみてください。)

こちらはゲノム編集で作られた系統ではなく、自然にミオスタチンに変異が入って肉量が多い系統を選抜した結果これほど筋骨隆々な系統になったようです。

ゲノム編集と自然変異の区別がつかないよい例ですね。

固そうだなーと思って調べたんですが、結構肉は柔らかいらしいです。(美味しい、という記載が見つからなかったのが気になりますが。)

このマダイもぜひ普通のマダイと食べ比べてみたいですね。

3.早く成長するトラフグ   リージョナルフィッシュ株式会社

こちらもマダイと同じ企業が届け出を出しています。(京都大学発ベンチャー企業のようです。)

2021年10月に認可され、翌11月から市場に出回り始めるようです。

こちらはゲノム編集によってレプチン受容体という遺伝子を破壊したトラフグのようです。

ヒトもトラフグも、満腹になるとレプチンというホルモンが分泌され、脳のレプチン受容体にくっつくことで満腹感を感じて食事を止めます。

レプチン受容体が破壊されていると満腹感を感じることがないため、食欲がずっと旺盛で餌を食べ続けます。

その結果、早く成長するようです。養殖期間が短くなって、より安くフグを食べられるようになるといいんですが。

消費者の知る権利については担保されている?

個人的に少し安心したポイントでもあるので、リージョナルフィッシュ株式会社の取り組みをご紹介します。

ゲノム編集食品の賛否において一番大きなポイントは「ゲノム編集食品である旨の表示義務はない」という点だと思います。

その点、 リージョナルフィッシュ株式会社は「消費者に対して情報を開示するガイドラインを守る、パートナー事業者にしか販売しない」という取り組みを行っています。

サナテックシード株式会社の商品は高付加価値商品のため従来のトマトとの差別化のためにおそらく率先してゲノム編集食品であるとPRするでしょうし、少なくとも現時点においては消費者への情報提供が担保される仕組みづくりになっていると思います。

また新しいゲノム編集食品が登場したら、メカニズムと情報開示などについて情報を集めて発信をしたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました!

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