外国、特に欧米に比べて日本人は「温和な人が多い」「保守的な人が多い」「周りに遠慮して自分の意見を言わない」と言われることがたびたびあります。
外国人
それに対する理由付けとして
日本人
ということも耳にしますよね。
一見妥当な説明ですが、本当でしょうか。
日本は弥生時代から約2000年間農耕社会を形成していました。
歴史を紐解いてみると、必ずしも「温和である」という評価が適切でない時もあったようです。
今回は、室町時代のアタマがおかしい人たちが主人公なこちらの本を紹介させていただきます。
かなり刺激的な内容ですので、日本人観が大きく変わるのは間違いないです。
土地を巡って隣の村を襲う、裁定が不服だから代官も襲う
東京ドーム1つ分の土地をめぐって150年以上争う
現在での滋賀県長浜市に菅浦という村と大浦という2つの村がありました。
その2つの村は東京ドーム1つ分ほどの土地を鎌倉、室町時代に渡って150年以上争ったそうです。
1440年ごろには村同士の戦争に発展。両村で30名以上亡くなったそうです。
村同士の争いというよりもヤクザ同士がシマを巡った抗争を繰り広げているといった方がいいのでは?と感じるのは私だけでしょうか・・・
農耕社会ですが温厚さを微塵も感じませんね。
よし代官を殺そう
菅浦vs.大浦の戦い(抗争?)は幕府の仲介をもって一度収まるかに見えました。
しかし、幕府の裁定は菅浦に有利なもので、大浦側の不満を買いました。
承服できない大浦側は何と代官の暗殺を企てて代官所を襲撃しました。
ムラにとっての邪魔者は消すしかない。享徳元年(一四五二)閏八月二日の夜、こともあろうに大浦の者たちは松平のいたムラの代官所を襲撃し、彼の暗殺を謀った。その手口は、実行役にわざわざ他所の殺し屋数名を呼び寄せて、「夜盗」の仕業と見せかけるという巧妙なものだった。襲撃を察知した松平は危うく難を遁れたものの、彼も地域対立の根深さに心底震えあがったにちがいない。代官であろうが誰であろうがムラの利害に反する存在は抹殺してしまおう、という当時のムラの凶暴さを語って余りあるエピソードである。
清水克行.室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界―(Kindleの位置No.896-901).新潮社.Kindle版.
全然温和じゃないどころか相当攻撃的で、テロ行為も辞さないヤバいやつらでした。
彼らは悪名高い犯罪集団でもなんでもなく、ただの村人たちです。
流罪や禁固刑にもなった「悪口の咎」
鎌倉時代の有名な法律「御成敗式目」の中に「悪口の咎」という項目があるようです。
漢字の通り、悪口を言うことを禁ずる法律でした。
鎌倉幕府の有名な法律書『御成敗式目』を見てみると、そこにはわざわざ「悪口の咎」についての条文が立てられている(第一二条)。そこでは、「悪口」を「闘殺の基」(殺人の原因)として厳しく禁じており、その罰は、重い場合は流罪、軽微なものでも禁固。さらに裁判途中で訴訟相手に対して「悪口」を吐いたら、係争地は問答無用で相手のものになる、という厳格さだった。
清水克行.室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界―(Kindleの位置No.236-240).新潮社.Kindle版.
ちなみに現在の日本語には伝わっておりませんが、Mother F〇kerに相当する日本語があったそうです。
いずれもその日本語を相手に言ったことで訴えられて、高額な罰金が科されたケースが2件記録として残っているようです。
どんな日本語だったかはぜひこの本を買って読んでみてください。
感想:現代から程遠い日本人観が凄く面白い
今回紹介した本を読んでみると”日本のこととは思えない”と感じます。
それだけに、海外のことを見ているようで面白いのですが、実際に私たちの文化的ルーツであるという点に立ち返るとさらに面白く感じます。
今回は本の中から1つのエピソードと1つの雑学?を紹介しましたが、本書にはもっとアタマがおかしい連中が多々出てきます。
先祖を辿っていくと、本書に登場するアタマがおかしい連中のうち何人かは計算上含まれていてもおかしくないはず。
そんなことを考えながら読むとより一層楽しめる本でした。
著者の清水克行氏はどんな人?
現在明治大学商学部の教授をされている方のようです。
商学部の教授ですが、研究内容は以前から一貫して日本史、中でも室町時代あたりの中世を専攻されているようです。
博士号も文学博士のようです。
日本史に興味がある方はこういう研究室を目指して大学選びをしてみるのもいいかもしれませんね。
今回もお読みいただきありがとうございました!
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