昭和の時代は定期預金の利率が4~8%もあったのをご存じですか?
こち亀の42巻(昭和61年出版)で、大原部長と両津が以下のやり取りをしています。
部長「全額預金しろ!1億円なら利息で生活できるぞ!」
両津「利息でたべていけるんですかあ?ぶちょう~っ」
部長「いける!大丈夫だ!たとえば9000万円を2年間の定期預金にすれば年率5.75%で年間5,170,000円の利息がつく事になる!いいかよくきけっ サラリーマンの年俸ぐらいはとれるんだぞ」
2021年現在みずほ銀行で2年間の定期預金をした場合の利率は0.002%です。
(みずほ銀行 円定期金利より)
昭和時代の金利が天国のように思えますね。
しかし視点を変えてみると、銀行は5.75%の金利を預金者に支払っても利益が出るように貸出金利を設定していたとも言えます。
銀行でも貸出金利が高かったのだから、消費者金融(サラ金)はさらにその上をいっていました。
今回は、消費者金融(サラ金)の歴史について面白い本がありましたので、そちらを紹介されて頂きます。
貸出金利は驚異の109.5%!!
1970年のプロミスの貸出金利はなんと109.5%です。
魔界にはグレーゾーンなどというもどかしい金利は存在しない。もれなくギンギンのブラックゾーンだ
魔人探偵脳噛ネウロ
現在の感覚だと109.5%はギンギンのブラックゾーンですね。
当時の法定上限金利も109.5%です。プロミスは上限ギリギリで設定していました。
現在は利息制限法で上限金利が15~20%で設定されています。
(参考 日本貸金業協会HP)
こち亀42巻が出版された時の法定上限金利は73%、消費者金融の貸出金利相場は年利40%~50%でした。
また、当時の住宅ローン相場はおよそ7%です。
(SBIホールディングス 住宅ローン関連の金利推移)
消費者金融は論外としても、こんな高い利率では住宅ローンを組む気にはなりませんね・・・
昔の消費者金融はクレジットカード的存在
現在は会計の時に現金が不足していたとしても、クレジットカードを使って支払いができます。
しかし、クレジットカードがまだ一般的でなかった1960年代などは、消費者金融が現金を補ってくれる存在でした。
プロミスや、パーソナルリース(後のレイク)などは”現金の出前“をキャッチフレーズにして繁華街で展開していました。
電話で申し込みを受け付け、15~20分でお客さんのところに現金を届けるというビジネスを行っており、サラリーマンに人気だったようです。
当時は仕事仲間と飲みに行くのが一般的でしたし、飲みのための出費は出世につながると考えられていたようで、とりっぱぐれが少ないことから消費者金融も喜んで融資をしていました。
消費者金融を通して当時の生活が透けて見える
私は平成生まれですが、消費者金融の歴史を学ぶことで昭和のリアルな生活の一端に触れられたように感じます。
人々の価値観は金をなにに使うかに大きく反映されます。
当時の人々は金を借りてまで何を買いたかったのか。
借金を保険金で返済するための自殺教唆が社会問題となりましたが、残された遺族はどう感じたのか。
この本はデータを多用して客観的事実に基づいて解説を進めていますが、そのことがかえって当時の生活の生々しい面をリアルに映し出しています。
タイトルは”サラ金の歴史”ですが、内容としては”昭和の文化・風俗史”でもあります。
ぜひ読んでみることをオススメします!
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