Youtubeでとある論破王が
30歳以上の出産はダウン症の子供を産む確率が上がる
と言っていました。
私を含め、アラサーの方にとって“いつ子供を作るか”は重要なテーマだと思います。
と考えていましたが、彼の言うことが本当であれば考えなおす必要があります。
「30歳以上の出産はダウン症の子供を産む確率が上がる」というのは本当か念のため調べてみました。
1. 出産時の母親の年齢と子供への影響
1.1 母親の出産年齢が上がるほどダウン症率が上がる
母親の年齢と子供のダウン症率を示すデータは下記の通りです。
出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」 報告書 参考資料より引用
Hook EB(Obstetrics and Gynecology 58:282-285, 1981)
Hook EB, Cross PK, Schreinemachers DM(Journal of the American Medical Association 249(15):2034-2038, 1983)を基に母子保健課にて作成
確かに出産年齢が上がるごとにダウン症の子供が生まれる確率は上がっています。
特に40歳以上になると100人に1人以上の割合になってくるのは驚きます。
論破王の言う通り、30歳で産むより35歳で産む方がダウン症の子供が生まれる割合は2.5倍ほどにはなります。
1.2 母親が35歳以上の出産は自然流産率が高い
以下のデータは母親の年齢と自然流産率を示しています。
* 25~29、30~34歳の群と比較して有意差あり(p<0.01)
出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」 報告書 参考資料より引用
虎ノ門病院産婦人科 1989.1.~1991.7.データ
母体年齢と流産 周産期医学 vol. 21 no. 12, 1991-12
こちらも基本的に出産年齢が上昇するにしたがって自然流産率が増加しています。
2人以上子供が欲しいのであれば、2人目の出産年齢も加味して計画立てた方がいいのかもしれません。
2. 出産時の父親の年齢と出産への影響
次に父親が高齢な場合のデータを見てみましょう。
2.1 父親が高齢な場合は自閉症スペクトラム率が高くなる
下記のデータは出産時の父親の年齢と子供の自閉症スペクトラム率について示したものです。
*自閉症スペクトラムとは”対人関係が苦手”、”こだわりが強い”などの特徴を持つ発達障害の一種です。
参考 ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)についてe-ヘルスネット*母親が50歳以上での出産のデータはなし
出典:S Sandin(Molecular Psychiatry 21:693–700, 2016)
Table1のデータを利用
こちらのデータを見る限り、父親も高齢になるほど子供の自閉症スペクトラム率が高くなると考えられます。
2.2 自然流産率も父親の年齢の上昇に伴って上昇する
父親が高齢の場合でも流産率が増加することを示すデータもありました。
少々わかりにくいグラフですが、母親が22歳から40歳である場合、父親の年齢が35歳以上であると自然流産率が高いことを示しています。
出典:Rémy Slama(Am J Epidemiol. 1;161(9):816-23, 2005)
和訳のために一部改変(Fig.1)
母親の年齢が極端に若いか、40歳以上になるとなぜか数値は逆転していますが、基本的に父親も若い方が自然流産率が低いと言えます。
2.3 高齢男性だと妊娠させにくくなる
子供の病気の有無とはまた別の話しですが、父親が高齢になるほど精子の数、運動能が低下するため妊娠率が低下すると言われています。
参考 男にもタイムリミットが!?~精子“老化”の新事実~NHK クローズアップ現代論文を調べてみると、以下の1次情報を見つけることができました。
男性の年齢 | 妊娠するまで要した期間(月) |
25歳未満 | 7 |
25~29歳 | 6.9 |
30~34歳 | 9.3 |
35~39歳 | 11.4 |
40~44歳 | 12.4 |
45歳以上 | 37.2 |
出典:Mohamed A M Hassan(Fertil Steril. 3:1520-7, 2003)
Table1を元に作成
男性側も年を取るほど受精させる能力が低下すると言えます。
結論:やはり35歳が一つの目安?
ライフプランは人それぞれですのでこれらのデータから「いつまでに産むのがベスト!」と一概には言えないと思います。
今回データを調べてみて、個人的には
と感じました。
妊娠、出産は生活に結びついているだけあって、単に「高齢出産はリスクが高い」など、数値を無視した言葉もよく聞きます。
今回はなるべく研究の一次情報を集めてみましたので、数値も利用してライフプランの設計に役立てて頂けると大変うれしいです!
今回もお読みいただきありがとうございました!
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