「ボトックスで皺を取ることは、一般的な抗うつ剤を服用するよりも。”うつ”を改善する効果が2倍以上高い」
という内容の総説が科学雑誌Journal of Psychiatric Researchに掲載されました。
議論は依然繰り広げられているようですが、面白い内容だったので紹介させていただきます。
ご自身がうつ病だと思われるのであれば美容外科ではなく心療内科を受診してください。
ボトックス治療ってなに?
眉間の皺などは繰り返し表情筋が緊張することでできます。
ボトックスは細菌が作る毒の1種です。毒ではありますが、正しく使用量をコントロールすれば筋肉の緊張をほぐす薬になります。
ボトックスを顔に注射することで、顔の緊張をほぐすことができ、眉間の皺などを取り除くことができます。
眉間の皺などでしたら、ボトックス注射1回の相場は3~5万円なようです。
ボツリヌス菌(wikipediaより)
幸せと感じると笑うのか、笑うと幸せと感じるのか
悲しくて泣き始めるんですが、だんだん泣いていること自体が悲しくなってくる、なんてこと経験ありませんか?
昔から、感情が表情を作るだけでなく、表情が感情を作る可能性が考えられています。
この考え自体はチャールズ・ダーウィンがいたころ(200年以上前)から既に存在しているようです。
ボトックス治療で得られた心への影響
筆者らは287人の被験者について調べたところ、ボトックスを6週間投与すると、”うつ”の症状が統計的有意に改善したと報告しています。
なぜボトックス治療が心に影響したのか
メカニズムとして以下の3点は考えられるかと思います。
- しかめっ面で筋肉が凝っていることが本当にメンタルに作用する
- ボトックスが”うつ”に関わる神経に作用する
- 皺が消えたことで鏡を見たときの自己肯定感が強まることでの副次効果
特に3点目については、「メイクが決まらない」と不機嫌そうな彼女・妻を見たことがある人だと納得できるかもしれません笑
妻
一般的に臨床試験ではプラセボと言って、まったく効かないダミーの錠剤を飲ませて自分が薬を飲んだのかダミーを飲んだのかわからなくさせます。
しかし、ボトックスのように見た目で明らかに変わってしまうような処置だと、自分が薬を打ったのかダミーを打ったのか容易に判断できてしまうため、プラセボの効果が限定的になってしまいます。
そのため、本当に皺がメンタルに影響するのか、中枢神経にボトックスが作用するのか、それとも単に自己肯定感がアップしただけなのかは判別が難しい点です。
しかし、患者側からすると”うつ”が軽減できるのであればどっちのメカニズムでもいいはず。
顔の皺が気になっていて、最近気分が落ち気味の方は試しに打ってみるのもいいかも知れませんね。
*繰り返しになりますが、まずは心療内科の受診をオススメします。
今回もお読みいただきありがとうございました!
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