【書評】暴力の解剖学 現実のサイコパスの行動について~暴力性は生まれか育ちか~

ドラマ、映画、アニメなどで”サイコパス”という言葉を目にすることがたびたびありますよね。

魔人探偵脳噛ネウロのシックス

羊たちの沈黙のハンニバル・レクター など。

でも実際の社会にいるサイコパスはどんな行動をするのか、それは遺伝するのかなどはイマイチわからないという人も多いかと思います。

人によっては「サイコパスなんて想像上の存在なんじゃない?」という方もいるかも知れません。

そんな方にぜひオススメしたいこちらの本を紹介します。

これまで読んだ本の中でも相当面白かった本ですのでご紹介します。

アニメ、映画でのサイコパスの描かれ方

魔人探偵脳噛ネウロ:シックス


外見はこういう感じのナイスおっさんで、作中のラスボスです。

シックスは7000年前から武器製造をしていた家系に生まれたという設定です。

武器は人を殺すもの。

武器製造者は「人に対する悪意と攻撃性が高い人物」が向いていると先祖は考えました。

そこで、代々悪意が強い子孫を当主として選抜して、その結果シックスが誕生した、という設定です。

非常に面白い設定ですよね。

先祖が望んだ通り、シックスは人への悪意、攻撃性が極まってます。

この作品でのサイコパスの描かれ方は「サイコパス性は遺伝する」という考えですね。

羊たちの沈黙:ハンニバル・レクター


ハンニバル・レクターはサイコパスとして代名詞的存在ですね。

レクター博士は「人食いハンニバル」と呼ばれるように猟奇的殺人犯でありカニバリストでもありません。

彼の両親の猟奇性については描写されておらず、サイコパス性が遺伝したという設定ではありません。

実在したサイコパス:ジェフリー・ランドリガン

ジェフリー・ランドリガンの人生

彼は1962年生まれのアメリカ人です。

生後8か月でデイケアセンターに置き去りにされ、養子として育てられました。

育ての親はとても慈悲深い方々で、養父が地質学者であることから教養の面でも恵まれた環境が与えられました。

そんな恵まれた環境でしたが、ジェフリーはなぜか非行に走ります。

10歳には酒を飲み始め、11歳の時には強盗として逮捕されます。

麻薬、窃盗、最終的には殺人まで起こします。

刑務所に入れられた後に脱獄し、再び殺人を起こします。

再び逮捕され、死刑判決を受けました。2010年に死刑が執行されたようです。

ジェフリーの実父と祖父

彼が死刑囚として収監されている際に、別の囚人から

囚人

お前とそっくりな人間に会ったことがある

と言われました。

調べてみると、それはジェフリーの実父であることがわかりました。

恐ろしいことに、実父は麻薬中毒者で、刑務所の脱走歴もあり、殺人も2件起こしていました。

生後8か月で養子に出されて置きながら、完全に父親と同じ道を辿っています。

さらにジェフリーの祖父も犯罪者で、強盗に入った際に警官から射殺されていたことも明らかになります。

ドラマだったら「ありえないだろ笑」という設定ですが、現実の話しです。

結局”育ちよりも生まれ”なのか

ジェフリーの件は完全に”育ちよりも生まれ”な例です。

統計的なデータは以下の研究結果が示されています。(p77より改変して引用)

このデータは養子に出された子供を対象とした結果です。

実の両親の犯罪件数 0 1 2 3以上
有罪判決を受けた子供の割合 12% 15% 18% 23%

*この研究自体はデンマークで行われた数値ですが、他の国でも同様な結果が得られているようです。

両親の犯罪数と子供の有罪判決が相関していることが見て取れます。

このことから、“犯罪率に関わる遺伝子”があることが示唆されます。

一方で、両親が3件以上の犯罪を犯している場合でも、77%の子供は有罪判決を受けていないという読み取り方もできます。

結論としては「生まれよりは育ちの影響が多いが、生まれの影響も無視できない」となるでしょうか。

海産物摂取量と殺人発生率の面白い相関

海産物摂取量が多いほど殺人の発生件数は少ない

筆者は国別の海産物摂取量と殺人発生率という興味深いデータを出しています。

例えば日本は海産物摂取量が非常に高く(データ中最高)、殺人発生率は非常に低い(データ中最低)です。

一方で、ブルガリアは海産物摂取量が非常に低く(データ中最低)、殺人発生率は非常に高い(データ中最高)です。

統計的に解析すると、海産物摂取量と犯罪発生率の相関係数は-0.63です。

(-0.2~-1であれば負に相関していると言え、-1に近いほど強く負に相関します。)

同一国内でも海産物摂取量と反社会的行動の相関が認められる

イギリスで約1万2000人を対象とした研究が行われ、妊娠中の海産物摂取量と子供の社会的行動が解析されました。

その結果、やはり海産物摂取量が少ないほど子供の反社会的行動が多いという結論が得られています。

DHA、EPAが効く?

DHA、EPAの摂取は健康に、特に脳にいいということはよく言われており、魚に多く含まれています。

海産物摂取量と殺人発生件数の負の相関についても、DHA、EPAが攻撃性の低下を引き起こしているのではないかと筆者は考察しています。

実際、オックスフォード大学が行った研究で受刑者にDHA、EPAを摂取させた結果、刑務所内での重大な規律違反が35%低下したことが報告されています。

DHA、EPAを投与することで攻撃性が低下するという結果は、イタリア、タイ、アメリカ、そして日本でも行われています。

イライラした時に

イライラすんなよ。カルシウム不足か?魚食え。

みたいなセリフを何かで聞いたことがありますが、重要なのはカルシウムではなくてDHA、EPAかもしれません笑

最近イライラしている人は買ってみるといいかも知れません。

3カ月分で1000円(送料込み)で売っていて、結構リーズナブルですね。

まとめ

「暴力の解剖学」について紹介しましたが、今回紹介した内容はほんの一部です。

本の厚さを測ったら3.5 cmありました笑

今回紹介した内容も十分面白いポイントですが、実はもっと面白い話しが含まれています。

サイコパスの脳の活動について計測した画像で、一般人との違いが明確で非常に衝撃的です。

ぜひ読んでみてください!

*本棚においてもすごく映えます。

今日もお読みいただきありがとうございました!

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