【書評】江戸時代の犯罪~古文書に見る江戸犯罪考~現代と同じところ違うところ

たまにテレビ番組で

アナウンサー

連続殺人事件が発生しました
きっと人を殺すゲームとかアニメが流行っているせいよ!!

インタビューされた人

というやり取りを目にすることがあります。

それを見ていていると

そういえば、ゲームのない江戸時代には少年犯罪とか連続殺人てなかったのかな??

という疑問が湧いてきました。

そこで、江戸時代の犯罪について扱ったこちらの本「古文書に見る江戸犯罪考」を読んでみました。

かなり面白かったので、今回はこちらを紹介させていただきます。

江戸時代の犯罪

「当時もそんな犯罪あったのかー」という内容と、

「今ではこの犯罪起こらないなー」という内容に分けてご紹介します。

現代でも発生する犯罪

まずは現代でも残念ながら発生する犯罪について取り上げます。

猟奇的殺人事件と、痴情のもつれによる殺人です。

どちらも刑事ドラマで定番ですね。

 

現代でも発生する犯罪~猟奇的殺人事件~

特に猟奇的殺人事件が発生すると「現代社会が生んだ闇」というような報道を目にします。

しかし、江戸時代にも猟奇的連続殺人犯がいました。そのうちの1件について紹介します。

犯人は武家屋敷の奉公人でした。

犯行の動機は「槍の練習していたら人を突いてみたくなったから」。

彼は3か月間で路上で6人刺殺し、7人にケガをしました。まさに無差別連続殺人事件です。

 

今と昔の刑罰の差

現在だと死刑が一番重い刑罰ですよね。

江戸時代だと死刑以上に重い刑罰が存在しました。

当時は名誉やプライドを重んじる文化なので、

死刑+名誉を傷つける

ことで死刑以上の刑罰になります。

市中引き回し、獄門という言葉を聞いたことはありますか?

これらが名誉を傷つける刑罰になります。

・市中引き回しは名前の通り「こいつが罪人です」と町中に連れまわすこと。

・獄門とはいわゆる晒し首です。

この連続殺人犯は

市中引き回し+処刑+獄門

のフルコースで処罰されました。

奉行

市中引き回しの上処刑し、獄門に処する

ちなみに犯人は無事(?)処刑されましたが、模倣犯が相次いで出たようです。

現代っぽいですが江戸時代の話しです。

 

現代でも発生する犯罪~夫婦喧嘩からの殺人~

当時も痴情のもつれで発生した殺人事件があったそうです。

ある夫が妻と口論になって、ついには夫が妻を殺してしまいました。

喧嘩の原因は、夫が元カノと関係を引きずっているのでは?と妻が疑って嫉妬したことに始まったようです。

人間の本質は300年やそこらじゃ変わらないんでしょうね。

 

今と昔の刑罰の差

当時でも殺人は基本的に死罪です。

しかし、現代でも遺族心理というのは刑罰に多少影響するように今回紹介した事件でも、殺害された妻の両親の感情が刑罰の重さに影響したようです。

しかしおそらく皆さんが想像したのとは逆で

娘は昔から気性が激しく、夫への言動には前々から問題があった。娘を殺した件について恨みには思っていない

と言ったらしく、減刑されたようです。

ご両親がそういうくらいなんだから相当だったんでしょうね。

奉行

本来は死罪だが、遺族の意見を考慮して追放に減刑する

 

江戸時代ならでは

次は「これは現代ではなかなか起きないだろうな」という事例を紹介します。

少女による放火事件と、不敬罪についてです。不敬罪は個人的にツボでした。

江戸時代ならでは~少女による放火~

現在でも まったくない というわけではないとは思いますが、こちらに分類したのは動機が当時特有だからです。

当時は労働法が整備されていませんので、少年少女の労働は特に禁止されていませんでした。

そのうえ、現代のようにパワハラや虐待を制限する法律もありませんので、雇い主が圧倒的に強い状態にありました。

そのため、子供の労働者に辛くあたる雇い主も少なくなかったようです。

そんな環境下であったため「このままでは雇い主に殺されかねない」と恐怖を感じた女の子が店に火をつけたというなんともいたたまれない事件があったようです。

 

刑罰

今も昔も放火は重罪です。

当時の刑罰では放火をした犯人は火あぶりにされました。

ただ、江戸時代にも少年法のように未成年(当時は15歳未満)は罪が軽減される制度がありました。

奉行

本来は火あぶりだが未成年であるため、島流しに減刑する

当時は性産業など劣悪な環境で少女が働かされることも少なくなく、そんな環境から逃げるために火をつける少女の例も複数あるようです。

 

江戸時代ならでは~将軍に対する不敬罪~

先ほどとは打って変わってちょっと笑えるケースです。

ある男が将軍をリスペクトするあまり、当時の将軍家慶を祭って「家慶大明神」と書いた掛け軸と、それを収納する木製の祠を作ったそうです。

この時点でぶっ飛んでますね笑

残念ながらこの男、生活が困窮してしまったらしく、この「家慶大明神」を手放して田舎に帰ろうとしたそうです。

しかし、祀っていたものだし、「家慶大明神」だし、普通に捨てるのも忍びない。

そうだ、町奉行所の前に置こう!

と考えつきました。捨てたつもりなのか設置したつもりなのかわかりませんが、捨てたと見なされて彼は捕まってしまいました。

 

刑罰

皮肉にも不敬罪として江戸追放になりました。勝手に将軍の名前書いてしかも捨てるとは何事だ!!という理由なようです。

今の感覚からするととても重いですよね。

それくらい将軍がリスペクトの対象だったんでしょう。

この掛け軸と祠は知人に制作を手伝ってもらったらしく、彼らは手鎖(手錠をしたまま生活させられる刑罰)30日~50日が課せられたようです。

奉行

貴様ら全員不敬罪で罰する。主犯は江戸追放じゃ!!

犯罪と刑罰からわかる江戸時代の文化

今回このブログで紹介した事件以外にも面白い(と言っては被害者に失礼ですが)事件がたくさん掲載されています。例えば

  • 治安維持機構としてのヤクザの利用
  • 親孝行が求められる江戸時代においてのDVの罰され方

などは非常に面白かったです。

私は江戸時代の専門家ではないので娯楽で本を読んでいるのですが、特に食事や犯罪についての本を読むと当時の人々のリアルが伝わってきて大好きです。

もし興味があったら読んでみるのをオススメします!

江戸時代にはなかった現在ならではの犯罪を学べる漫画

もし「当時にはなかったであろう現代の犯罪」を手軽に学んで見たければ、マンガ九条の大罪をオススメします。

闇金ウシジマくんの作者の作品だけあって、すごくエグい面はあります。

江戸時代の犯罪を知りたければ今回紹介した本ですが、現代の犯罪を知りたいのであればやはり真鍋昌平さんの作品はぜひオススメです。

今回もお読みいただきありがとうございました!

藩ぐるみでの犯罪についてはこちらの記事がオススメです。

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