私は東証一部に上場している食品メーカーで5年以上研究員として勤務しています。
最近転職活動を始めて、これまで勤めてきた食品メーカーについて多少客観的に見れるようになってきました。
その結果、食品メーカーのいいところ、悪いところについて5つずつ思いついたので、この記事で紹介したいと思います。
これから食品メーカーに入ろうか考えている新卒、既卒の方々の判断材料になれば大変うれしいです!
食品メーカーのいい面、悪い面10選
食品メーカーのいい面
食品メーカーの悪い面
順番に紹介していきます!
食品メーカーのいい面
給料は不況下でも安定的
去年と今年、景気が悪くなっていると言われていますが、食品メーカーはそれほど打撃は受けていません。
もちろん、飲食店向けの商品に特化している食品メーカーは例外的に打撃を受けているとは思います。
私が勤務している食品メーカーは飲食店向けだけでなく、スーパーやコンビニでも販売している商品を作っております。
スーパーやコンビニでの売り上げは、この1年むしろ上がりました。
外食が減った分自炊する頻度が増えたり、子供と料理を楽しむ人が増えたからだと考えられています。
そのため、私の給与やボーナスはそれほど影響はありませんでした。
景気変動に影響されにくく、給与が安定的であるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
福利厚生は平均的水準より高め
同業他社の友人とも話しましたが、福利厚生は充実していると言えそうです。
私の勤務先は借り上げ社宅制度で、家賃の自己負担分は約30%程度です。
現在7万円程度の賃貸物件に住んでいますが、会社が毎月5万円補助してくれています。
家賃補助の相場は平均1万7000円程度と言われていますので、それ以上にサポートをしてもらっています。
まだ未婚ですが、結婚して広めの賃貸物件を借りたとして、最大10万円まで毎月補助してもらえます。
自己負担分30%は10年間のみで、それ以降は40%に少し負担率が上がります。
それでも毎月最大8万円程度補助してもらえるので、大変ありがたい制度です。
就職、転職の際に家賃補助は決して小さくない福利厚生なので、よく見ることをお勧めします。
消費者認知度が高いので、自己紹介した時のウケはいい
勤務先の商品はスーパーやコンビニに並んでいるので、勤務先の消費者認知度は非常に高いです。
そのため、自己紹介の時に勤務先の話になるとウケが結構いいです。
B to B企業や医療用医薬品メーカーなどと比べると、企業の大きさ当たりのウケの良さはかなり高いと思います。
お金に直結する話ではありませんが、初対面でも比較的信頼されやすいという点で、企業ブランドの恩恵にあずかっているとは感じます。
過度な残業とは無縁
余程の事がない限り、残業時間は10~20時間以内に収まります。
これは働き方改革として企業が本腰を入れて取り組んでいる結果でもありますし、そもそも月30時間以上の残業は基本的に制限されていました。
業界としてある程度成熟しているので、ガツガツ働くことが企業の成長に直結する状況でないというのも一因だと思います。
フレックスタイム制が導入されている職種がほとんどで(製造を除く)、残業時間を減らしてプライベートの時間を増やしたい人には向いていると思います。
ただ、これから食品メーカーへの入社を検討されている方、特に新卒の方は、
残業時間が少ない⇒いいこと
と判断しない方がいいと思います。理由はデメリットのところで上げます。
意外とチャレンジを歓迎する雰囲気はある
ご存じの通り、日本の人口は減少しておりますし、それは今後も続いていくと予想されます。
日本の食品メーカーは輸出を前提としているところは少なく、主な顧客は国内の消費者です。
そのため、日本の人口減少は売り上げの減少に直結します。
各食品メーカーはその中で少しでもシェアを保つために、商品開発に力を入れています。
商品開発力を保つため、ある程度チャレンジングで斬新なアイディアも受け入れる土壌があると感じますし、アイディアを求められることが多くあります。
自分のアイディアを商品化したいという人には食品メーカーはいい選択肢かもしれません。
食品メーカーの悪い面
年功序列など、古い日本の企業体質が強い
日本の食品メーカーは大体歴史が長いところが多く、その分よくも悪くも日本企業の体質が残っています。
私は入社するまで、
と思っていましたが、私の上司がそれをやっていました笑
- 給料は基本的に年功序列
- 昇進したての若手には高い評価が付きにくい
- 重箱の隅をつつくような書類の修正
など、The 日本企業 という感じのところも多々あります。
企業としてはそのような文化から脱却を狙って色々やっているのは感じますが、まだ完全に脱却しきれていないというのが感想です。
近年社会的に脱ハンコが進んでいますが、現在弊社では絶賛ハンコ文化が残っています。
稟議書申請は依然「スタンプラリー」です。
給料は他業種に比べるとそれほど高くない
給料は他業種に比べると低めです。
新卒で食品メーカーに入ると大学の時の友達に年収マウンティングされることは多々あります笑
食品はそもそも利益率が低めですし、致し方ない面はありますが。
さらに悪いことに、近年の働き方改革の影響で、残業時間を減らす圧力が高まっています。
もともと低い給与水準に加え、残業代が減るということで、これは食品メーカーの従業員、特に基本給が低い若手にとって大きな痛手です。
残業で稼げなくなったので食品メーカーを去った友人もいます。
新卒の方は特に、残業時間が少ないことが必ずしもいいとは限らないという点を認識した方がいいと私は思います。
工場は地方に多い、製造へ異動となったら地方在住が余儀なくされる
当たり前ですが、食品メーカーは食品素材を加工して販売するのが仕事です。
食品素材の供給源はほとんどが地方ですから、必然的に工場も地方に建てられることが多いです。
そのため、地方で暮らすことに抵抗がある場合、特に製造職で就職する場合は要注意です。
技術系総合職として採用をしているメーカーである場合でも、本人の希望に反して製造に送られる可能性は十二分にあります。
仮に修士卒で技術系総合職で入社した場合でも製造に送られる可能性もあります。
と入社するまで思っていましたが、食品メーカーは工場で生産される商品でお金を稼いでいます。
そのため、工場で生産効率の合理化、作業工程の改善に成功するとかなり大きな利益が得られます。
ですので、企業としては工場の合理化を促進させる目的で、修士卒や有名大学卒な人も製造に送ることも多々あります。
私が勤める会社でも、東大卒の工場勤務も何人もいます。
さすがにここまでの田舎にはない・・・?
工場は基本3交代制で、勤務時間が短い代わりに休日数が少ない
これは同期の中で最も不満が上がっているポイントです。
企業の募集要項には
休日
土曜、日曜、祝日、年末年始 など
※事業所によって異なる
という記載がされています。
土曜、日曜、祝日、年末年始が休みだと年間休日は約125日ほどになりますが、工場だとこんなに休めません。
1日当たりの勤務時間が工場は他の事業所よりも短いため、休日数は少なくなります。
そのため、年間休日数が100日を切る場合もあります。
工場は基本シフト制ですので、土日祝日も普通に勤務となる場合も少なくありません。
夜勤も普通にあるケースが多いです。
募集要項にはこの辺の説明がされていないため、入社後不満に持つ同期が多いです。
夜勤をしたくないという人は多いと思います。
しかし、夜勤をするとかなり稼げます。
昔、工場勤務の同期が私よりも6万円以上給料をもらっていて驚いたことを覚えています。
若く体力があるうちであれば、夜勤をしてガッポリ稼ぐのも人によってはアリかも知れません。
動物愛護活動が高まっており、機能性表示食品の開発は今後縮小すると思われる
最近動物愛護活動が活発になってきています。
10年ほど前に、
動物愛護団体
という風潮になり、化粧品メーカーでの動物実験は基本的に禁止となりました。
次に動物愛護団体が標的としたのが食品メーカーです。
動物愛護団体
と言い始めました。
動物愛護団体は人の命に直結するような、医薬品の研究以外では(今のところ)動物実験は認めない方針です。
動物愛護団体は動物試験をやめない企業に対し、徹底的にネガティブキャンペーンを展開します。
そのため、多くの食品メーカーは動物実験をやめざるを得ない状況になっています。
これが社会にとっていいことなのか悪いことなのかは測りかねますが。
私が言えることとして
という熱い志を持っている方は、残念ですが諦めて製薬メーカーを目指すことをオススメします。
その方が少なくとも病気の人は救えます。
食品メーカーではどんな人が求められる?
これまで食品メーカーのいい面、悪い面をあげてきました。
それでも食品メーカーで働きたい!という方のために、
どんな人が食品メーカーに多いのか≒採用されやすいのか
考えてみました。興味がある方はぜひ参考にしてください。
いろんな業務に興味がある人
基本的に、食品メーカーではいわゆるゼネラリストが好まれます。
もちろんある分野について突き抜けた知識をもってスペシャリストになる人もいますが、割合としてはごく少数です。
食品を作る上で、研究開発・商品開発・品質保証など部門間で仕事を共有して進めていく必要があります。
食品を売る上でもマーケティング・ロジスティックス(物流)・営業などのチームプレイが必要です。
仕事を円滑に進めるために、部門間での人事異動も珍しくありません。
一つの分野に専念するタイプも重要ですが、どちらかというと部門間に渡って広い視野で物事が見れる人のほうが重宝されます。
食品メーカーを志望する際に、「研究を!やりたい!!」とエントリーシートで押しすぎると落とされるというのが理系大学院生あるあるです。
少なくとも技術系総合職として採用を行っている企業にはそのアピールは避けるべきです。
裏を返すと、大学の時の専門性が食品とかけ離れている人であっても採用されるチャンスがあります。
人当たりがいい人が多い
1つめの理由と共通している点でもありますが、仕事はチームプレイで進めることが多いのが食品メーカーの特徴です。
そのため、人によって好き嫌いが分かれるような過激な人間はそれほど多くありません。
基本的に優しい人が多く、ガツガツした人が少ない印象です。
日本企業らしい人間関係のストレスは多少はありますが、少なくとも人間性に問題がある人によって悩まされる可能性は低いというのが私の感覚です。
英語力は基本的に不問
就活している学生さんだと特に「TOEIC持っていた方が有利?」という疑問をお持ちかと思います。
もちろんTOEIC 800点以上を持っている方などはプラスに働くとは思いますが、基本的にTOEICのスコアで優劣はつきにくいと思います。
*もちろん向上心と継続力があるという素晴らしいアピールにはなります!!
国内の食品需要が低迷しているため、海外の市場に進出したいという企業は多いですが、少なくとも現時点で多くの食品メーカーは英語力はそれほど重視していません。
海外に駐在したい、という要望がある方は別ですが、TOEICのスコアが低い方でも問題なく内定はもらえます。
私は東証一部上場企業の食品メーカー勤務ですが、入社時のTOEICスコアは600点台です。同期にはTOEICのスコアを持っていない人も何人もいます。
【TOEIC】研究室入りたての学生注意! 英語の論文読んでもTOEICの点数は上がらないよ
結論:食品メーカーは安定性を重視するとよい就職先
今日もお読みいただきありがとうございました!!