【書評】警視庁科学捜査官 難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル

2021年3月25日に「警視庁科学捜査官 難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル」

という本が出版されました。ぜひいろんな人に読んでもらいたい本でしたので、今回はこちらの本を紹介させていただきます。

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あなたの「科学捜査」についてのイメージは?

皆さんは科学捜査についてどんなイメージを持っていますか?

私は正直なところ「捏造しかねない怖いところ」というイメージを少々持っています。

もちろん科学捜査の重要さは刑事ドラマを見ているとよくわかりますし、相棒の米沢さんは好きなキャラクターでした笑

出典:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou_13/contents/story/0011/

 

一方で、科学捜査を行う捜査員もあくまで警察

状況次第では真犯人を探し出すことよりも警察組織を守るために冤罪の検証をしないことが過去にありました。(足利事件など。足利事件について詳しく知りたい方はこちらの本がオススメです。)

警察組織の科学捜査能力を高めた人の半生

筆者の服藤恵三氏(はらふじ けいぞう)は新卒では製薬企業に入り、その後科捜研の捜査員として警察官になったようです。

科捜研とはいえ公務員、変化を嫌う先輩も多かったようで、なりたての頃は非常に苦労したようです。

年功序列が基本の公務員の中で、ほぼ全員が受かるはずの昇進試験に落ち続けてしまうこと、新しいものを取り入れようと挑戦しても変化を嫌う周囲からの抵抗にあうこと等、

ありそうだなぁとは思いつつも、生々しい体験は読んでいて強く引き付けられました。

 

私が考えていたのは、科捜研の改革だった。捜査現場のどんな要求にも対応できる鑑定・研究機関にしたかったのだ。新しい知識や技術を進んで取り入れ、対応できない分野は自ら開発する職場にしたかった。レベルの高い研究所にするために、具体的な改革案を企画・立案し始めていた。

服藤恵三.警視庁科学捜査官難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル(文春e-book)(Kindleの位置No.787-789).文藝春秋.Kindle版.

地下鉄サリン事件、和歌山カレー事件捜査の舞台裏

両方とも平成史に残る超重大事件ですが、両方とも筆者が担当として科学捜査に関わったようです。

科学捜査視点で見た際にオウム真理教がサリンを作ったことをどう立証するのか、和歌山カレー事件でどう犯人を絞り込んだのかについて回顧されています。

特にオウム真理教のサリンを合成した土屋正実とのやり取りは圧巻です。

 

和歌山カレー事件については冤罪説もあるため何とも言えませんが、どう操作が進められていったのかについては一読の価値があります。

 

「被疑者に不利な理論は用いない」

我々の立場で忘れてはならないのは、「被疑者に不利な理論は用いない」ということである。これはとても重要で、明確にできない条件については常にこの判断を念頭に置き、解析や考察を行なう必要がある。

服藤恵三.警視庁科学捜査官難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル(文春e-book)(Kindleの位置No.938-940).文藝春秋.Kindle版.

 

この言葉は非常に重いと感じました。

研究の世界でも、自分の仮説に合った実験結果を採用したくなる誘惑は常にあります。

捜査の世界でも、おそらく先走った正義感などで「被疑者を有罪にしたい」、「遺族の無念を晴らしたい」という誘惑があるのだと思います。

その点、筆者のこの言葉は重みがあり、自戒の念が込められているように感じました。

 

科捜研視点の知識があるとミステリー小説もより楽しめるかも?

ドラマだとどうしても誇張や演出が入ってきますが、実際に現場で活躍した方の回顧はよりリアルな情報です。

もちろんずっと警察サイドの人としてキャリアを積んできた方の回顧ですので、完全に鵜呑みにできないと構えるのも重要です。

しかし、警察の不正、冤罪などがフォーカスされやすい現代において、警察サイド、特に科捜研サイドで人生をささげてきた方の半生について知っておくことは意義深いものであると思います。

もしかしたらドラマや小説でより感情移入しやすくなるかも知れませんね。

 

今回もお読みいただきありがとうございました!

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