今日はお酒と死亡率に関する研究を紹介します。
今回紹介する調査は、日本人約10万人を18年追跡調査したものですので、信頼性は高い研究です。調査開始時の対象の年齢は40~69歳です。
この記事は、国立がん研究センターが中心となって行っているJPHCコホート研究の成果をもとに作成しています。
基本的に飲酒量が増えるごとに調査期間中の死亡率は高い
*クリックすると拡大できます
Saito E, et.al.. Impact of Alcohol Intake and Drinking Patterns on Mortality From All Causes and Major Causes of Death in a Japanese Population. J Epidemiol. 2018 Mar 5;28(3):140-148.
Table 2.
Adjusted hazard ratios of mortality by alcohol consumption status (men)
Table 3.
Adjusted hazard ratios of mortality by alcohol consumption status (women)
より引用し抜粋。
参考:アルコール量換算表
「まったく飲まない」が高い理由については後述するので、まずは飲酒をする人を対象にデータを見てください。
適量があるとするのであれば、お酒はたまに飲む程度(月に3回以内)か、週149 g以下(1日にビールのロング缶1本以下)がいいのかも知れません。
休肝日の回数と死亡率には関係が認められなかった
Table 4.
Adjusted hazard ratios by the number of liver holidays per week in regular drinkers
より引用し抜粋。
*女性のデータがひとくくりなのは、おそらく飲酒量毎に分類すると統計上十分な数値とならなかったかと考えられます
よく「休肝日を設けるように」という言葉を聞きますが、このデータからはあまり休肝日の重要性は認められませんね。
もう少し影響がありそうでしたが、予想外ですね。
ただし、休肝日が多いのに飲酒量も多いってことは、飲むとき飲みすぎている可能性も考えられますよね。それによる悪影響というのもあるのかも。
なぜ「まったく飲まない」グループの死亡率が高かったのか
そのため、調査開始時点では大酒飲みだったのに、調査途中で体調を崩したため禁酒したために「まったく飲まない」グループに含まれている人が死亡率を高めているのでは?
と筆者らは考察しています。
確かにその可能性はあるけど、それならば調査開始時に「まったく飲まない」と答え、かつ調査開始5年後、10年後に「まったく飲まない」と答えた人の死亡率は?と聞きたくなるところです・・・(載ってませんでした)
そのため、お酒は完全に断つべきか、少しは飲んだ方がいいのか についてはこの結果では切り分けられません。
ただし、少量の飲酒量であれば抗炎症作用や、心臓病の予防効果があることが示唆されています。
そのため、完全にお酒を断つよりも少しは飲んだ方がいい可能性もあります。
そもそも、断とうと思って完全に断てる人ばかりではないことを踏まえると、週に149 g以下のアルコール量は許容してもいいのかも知れません。
結論 お酒は1日ビールロング缶1本まで 休肝日は週に1日がベスト?
*ただし女性の場合「休肝日なし」が一番死亡率低いので、350 mL缶のビールを毎日がいいのでしょうか・・・あくまでこの結果では。
今回もお読みいただきありがとうございました!
