前回に引き続き、コホート研究を紹介させてください。
前回の記事:シュウ酸は尿路結石の原因になる? コホート研究が示すリスク
私はコーヒーを平日マグカップで4杯程度、土日も最低1杯は飲むコーヒー中毒者です。
今日も研究室の学生さんに「そんなにコーヒーばかり飲んで体大丈夫?」と少し呆れられました。
実際コーヒーの摂取は体にいいのか悪いのか、ちょうどいい機会だったのでコホート研究を調べてみましたので、ご紹介します。
最後にコホート研究を通してわかった「コーヒーを多く飲む人はどんな人か」を紹介します。個人的に結構面白かったので是非最後までお読みください!
健康に対する影響を要約すると以下のデータが見つかりました。
健康にいいことを示す結果
・欧米、日本の研究でもコーヒーの摂取により死亡リスクが低下する
*1日4杯までは飲むほどリスクが低下するが、5杯目以上は効果が薄れる
*1日4杯までは飲むほどリスクが低下するが、5杯目以上は効果が薄れる
特に心疾患は5杯以上飲むと飲まない人と同程度とリスクが変わらない
・女性ではコーヒー摂取により大腸がんのリスクが低下する
*ただし、発がん率とコーヒー摂取量に関連がないとする論文もある
・コーヒー摂取量が多いほど2型糖尿病の罹患率が低下する
調べられた上限値(1日当たり7杯以上)でも罹患率が低下していた
・コーヒー摂取量が多いほどアルコール性肝硬変になるリスクが低下する
調べられた上限値(1日当たり4杯以上)でも罹患率が低下していた
非アルコール性肝硬変には影響が認められなかった
・コーヒー摂取量が1日1~2杯飲むと認知症のリスクが28%低下する
3杯以上でも18%低下する
1杯あたり何mLかは記載されていませんでした。
健康へのメリットが多数ありますね。
健康に悪いことを示す結果
・妊娠中の女性はカフェイン摂取量が一日あたり300 mgを超えると流産、胎児の低体重出産のリスクが高まる(WHO基準)
*コーヒー500 mL相当。
・コーヒーを725 mL摂取するといわゆる「下の血圧」が1.22 mmHg上昇する
*マグカップ3杯分くらい? 1.22 mmHgだけ・・・
・・・これだけ?
複数調べたんですが、体への悪影響に関する報告は上記2つしか見当たりませんでした。
血圧を上昇させる研究では、コーヒー摂取だけでなくカフェインとして投与した際の結果も記載されていました。
面白いことに、コーヒーに含まれる量のカフェインを試薬として摂取させた方が血圧上昇効果は大きかったようです。
このことから、コーヒーにはカフェインの作用を軽減するような成分も含まれているのでは?と示唆されます。
もしかしたらカフェイン量に換算すると同じでも、エナジードリンクを飲んだ方が、コーヒーを飲むよりも体への悪影響が強く表れるのかも知れません。
コーヒーを多く飲む人はどんな人?
複数のコホート研究を見ていて気付いたのですが、コーヒーを多く飲む人は飲まない人に比べて
・若い人に多い
・喫煙率が高い
・甘い飲み物を好む
・乳製品はあまりとらない
・学校教育を受けた期間が長い
という割合が高いようです。統計的有意性も示されています。
興味深いですよね笑
もちろん健康への影響はこれらの因子による影響を除くように統計解析がかけられています。
今回もお読みいただきありがとうございました!