カロリー不足が原因ではない? カロリーが少ないのに栄養失調が改善された研究

栄養ってなんだろうと考えさせられる研究成果が報告されました。

論文:A Microbiota-Directed Food Intervention for Undernourished Children

栄養失調な子供を対象としてこれまで使われてきた栄養補助食品には課題があったようです。
というのも、栄養補助食品を十分与えても完全に回復するケースは少なかった。
ワシントン大学医学部ジェフリーゴードン教授のチームがこの問題に取り組み続けてました。
そこで、腸内細菌叢の改善を行うアプローチを検討しました。
今回投稿された論文を要約すると、
・貧困地域でも入手しやすい食品を組み合わせて新しい栄養補助食品を作った。
・それを投与すると、従来の食品よりも子供の成長が促進する結果が得られた。
・骨形成、神経発達、免疫発達等を示すタンパク質の増加も認められた。
とのことです。
新しい栄養補助食品は、これまでのに比べ
・タンパク質が10%ほど多く
・脂質が30%ほど少ない
という違いがあります。
炭水化物はほとんど変わらず(5%減)、ミネラルなどの微量栄養素は変わりません。
原料は、これまでのはコメなどを用いていたのを、ひよこ豆やミドリバナナなどに変えています。
面白いことに、一般的に健康にいいとされるビフィドバクテリウム ブレーベは体重の増加と負の相関を示したとのことです。
いい菌はいつも体に良いわけではなく、介入するタイミングが重要だと考えられると述べています。

腸内細菌からのビタミン供給とかが原因か?

これはデータに基づくわけではなく私の仮説です。
以前読んだ論文ですが、線虫を用いた研究で、大腸菌から摂取するビタミンが線虫の成長には必須という論文を読んだことがあります。
線虫は実験室では大腸菌で生育させるのですが、この時に死んだ大腸菌では当然ビタミンは作られません。
大腸菌を加熱するとビタミンも分解してしまうため、加熱殺菌した大腸菌では線虫を生育させられない、ビタミンを追加で混ぜれば生育できる
という内容でした。
今回の論文ではカロリーはほとんど変わらない(むしろ低い)点と、ミネラル、ビタミンは変わらない点を踏まえると、
腸で常に作られ続ける栄養素が成長をサポートしている
と考えられます。
もちろん迷走神経に作用して効果を発揮する、なんてのもあり得ますが。
何にしても非常に面白い結果ですね。

貧困地域の栄養状態改善は先進国のためでもある

昔読んだ本なのでうろ覚えなのですが、
貧乏人の経済学
2019年にノーベル経済学賞をとったアビジット・バナジーとエスター・デュフロの本人書いてあったと思います。
貧困地域でも、親が子供を医者に連れてきて抗生物質をくれと言う。医者は抗生物質と称して砂糖などの栄養源を渡す。
抗生物質よりも、重要なのは正常な免疫を発達させるための栄養だから
ということが書かれていたのを覚えています。
(違ってたらすみません…)
無闇と抗生物質を使うと抗生物質耐性菌が出現しやすくなります。
抗生物質耐性菌が広まると、私たちが感染した時も効果的な薬がなくなってしまいます。
そのため、貧困地域の栄養状態を改善し、抗生物質の使用を減らすことは私たちのためにもなります。
今回もお読みいただきありがとうございます!
 
 

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