【最新研究紹介】将来細胞レベルで若返る薬ができるかもしれない

2020年12月の科学雑誌「Nature」に、もはやファンタジーだろ!!という研究発表がされました。

Reprogramming to recover youthful epigenetic information and restore vision

ざっくり言うと「細胞を若い状態に戻すことで老齢マウスの視力が回復した」という内容です。

また一歩人類が不老不死に近づきました!!笑
山中伸弥教授のiPS細胞がジョルノ・ジョバーナのゴールド・エクスペリエンスだとしたら、この研究はBLEACHの井上織姫の「双天帰盾」、あるいはドラえもんのタイム風呂敷といったところでしょうか笑
まず「細胞を若い状態に戻す」とはどういうことかについて解説します。

「細胞の時間を巻き戻す」とは?

エピジェネティックという研究領域


みなさんエピジェネティクスという研究分野をご存知でしょうか。
ヒトはたった1つの受精卵から60兆個(37兆個とも)もの細胞に分裂します。
しかも、ただ分裂するだけでなく皮膚、心臓、脳など270種類もの細胞に変化します。
昔は「皮膚の細胞は、皮膚に必要ない遺伝領域(例えば心臓や目になる遺伝領域)を切り捨ててるんじゃないか」と考えられていました。
これを覆したのがジョンガードン先生。彼の研究で、皮膚になった細胞でも受精卵のようにいろんな細胞に変化できる状態になることをアフリカツメガエルというカエルを使って示しました。
この現象がヒトでも起こせることを示したのが山中伸弥先生のiPS細胞です。
これらの研究が示すのは、変化の過程で遺伝領域を切り捨ててるのではなく、単に読めなくしているだけということを示しました。
ジョン・ガードン先生と山中伸弥先生は2012年ノーベル医学生理学賞を共同受賞しましたね。
この遺伝子は読む、この遺伝子は読まないというのをコントロールするメカニズムがエピジェネティクスという研究領域です。

歳をとることでエピジェネティックな変化が蓄積する


若いころの細胞と歳をとったころの細胞ではDNAに変化が起きています。エピジェネティックな変化によって、本来読まれる遺伝子が読まれなくなったら、読まれる必要のない遺伝子が読まれるようになります。近年「epigenetic clock」という言葉を科学雑誌でたびたび目にするようになりました。加齢によってDNAにエピジェネティックな変化が蓄積することを時計に例えた言葉です。
今回の論文では歳をとることで蓄積したエピジェネティックな変化をリセットすることで、視力が回復できることを示しています。
つまり、今後の進展でエピジェネティックな変化を戻すような薬剤などが開発されれば、視力以外の組織も治せるようになるかもしれませんね。実際心臓、肺、腎臓などといった加齢の影響を受けやすい臓器について今後検証を行う予定のようです。
現在ハーバード大学が企業と組んで臨床試験をする準備に移っているようです。
最先端過ぎて実用化はどれほど先かはわかりませんが、科学は着々と前進していると感じさせる報告でした。
もしかしたら今後心臓、肺、胃などは取り替えられたり若返らせられたりして、脳だけが「若返らせたり取り替えても自分といえるか」という哲学的命題に取り残される、なんて未来もあるかもしれませんね。
参考 Nature
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03403-0
サイブロの他のエピジェネティクス関連の投稿

コメントを残す